みなさん、こんにちは。

ミャンマー、タイ、台北、九州と長期の出張が続き、また、ミャンマーに関する実務書の執筆作業が忙しく、久しぶりのブログになってしまいました。

 さて、皆さんも記憶に新しいオバマ大統領による7月11日のミャンマーに対する経済・金融制裁の一部解除を内容とする大統領令。

その後の米国企業の動きを、報道ベースではありますが追いかけてみました。

大統領令発布前には、コカコーラ社などの進出発表が報道されていました。

その後、先日、シンガポールの駐米大使とミャンマーの駐米大使が、シンガポールの米国商工会議所の企業代表団を引き連れ、ネピドーで大臣との米国企業の投資について協議したそうです。

同協議の場において、ミャンマーにおける米国企業による投資機会として、サービス、エネルギー、電気、輸送、通信、健康および生産分野に集中して議論がなされた模様です。

そして、シンガポールにある米国商工会議所メンバー企業である8社が、ミャンマー進出を表明しています。
具体的には、Caterpillar, Citibank, KraftFoods, GE Energy, Ford Motor Co, Bell Helicopter, Hewleft-Packard Corporation, Arrow Technologies Pte Ltdです。

さらには、7月11日の大統領令の内容をさらに一歩緩和し、22年ぶりに、石油と天然ガス開発の分野においても、米国企業がヤンゴンに拠点を設けることができるようにしました。

このオバマ大統領によるアナウンスメントの後すぐに、38の主要な米国企業の70人以上の取締役を含む米国企業の大視察団がミャンマーを訪れました。


現状までの実際の取引開始事例としては、ゼネラル・エレクトリック(GE)が、ヤンゴンの2つの主要な私立病院に対して、7月14日に高度先端医療器具を供給することについての最初の契約締結がなされています。


それから、少し米系のクレジットカード会社の動向についても見ておきます。

ミャンマーにおける民間大手銀行であるカンボーザ銀行は、VISAカードとマスターカードによるATMでの現地通貨の引出を、6か月以内か、2013年のアセアンオリンピック(SEA GAME)までには可能とするための準備を進めるとのことです。

現状、外国人向けのホテルの飲食店などで、カード会社の加盟店が独自にカード決済を許容しているケースがありますが、一般的に、現状のミャンマーではクレジットカード決済はできない状況にあります。

カンボーザ銀行は、クレジットカード決済を可能にするのは、外国人向けのサービスと位置付けているようですが、将来的には、国内の個人、企業も含めたクレジットカード決済取引が可能となる日が来るのではないでしょうか。

なお、現状のミャンマーは現金経済でして、カード決済はもちろんのこと、ATM取引も決して活発な状況ではありません。
確かに、現地の銀行の支店には、数台のATMが備え付けられています。しかし、ミャンマーが抱える電力インフラの脆弱性からくる度重なる停電により、ATMもシステム障害を多く起こすため、預金者はATM取引を避ける傾向にあるようです。

このような状況を鑑みると、やはり外国人によるクレジットカードによるATM取引を普及させるには、他方において電力問題を解決しなければ、簡単にはATM取引は増加しないものと思われます。

2013年のSEA GAMEでは、11か国から、約5,000人のアスリートが、ミャンマーにやってくるそうです。会場となるネピドーでは、ホテルの増設が進んでおり、現在存在する31のホテルに、新たに19のホテルを建設してホテルを50にするそうです。

このように来年、外国人が大量にミャンマーを訪れるまでに、万全なクレジットカード決済のインフラの整備が求められます。

ということで、7月11日大統領令以降の米国企業の動きを少し見てみました。

それではまた。


 P.S. 9月下旬にまたヤンゴン入りします。


 宍戸徳雄